−第1話−

「あのー、この間のインタビューなんですけど、来週の火曜日〆切りでお願いします」
 2月24日火曜日深夜。こんな素敵な電話が集○社の某誌担当からかかってきた。先々週行った、某格闘家のインタビュー記事である。
「掲載はいつになるかまだ未定で……」
 というコトだったので、つい計算に入れてなかったのだ。
 甘かった。
 実は明日、2月25日より、自分と妻、友人数人とで、アメリカはバージニア州で行われるアニメ&漫画のコンベンションである「KATSU-CON(活魂)」というコンベンションに行くのだった。
 しかも、今回は妻と自分はゲストなので、エアチケットとホテル、食事も無料。日本で言うアゴアシマクラ付き、というヤツだ。その為に数誌の原稿をヒーヒー言いながらアップし、そろそろスーツケースに荷物でも入れようかい、という矢先の出来事であった。

「こんばんわぁ」
 おっと、誰か来た。と思ったら、明日一緒に旅立つよーこちゃん(漫画家)だった。よーこちゃんは家がちょっと遠いので、今日はココに泊まって明日一緒に行くのだ。なんせウチからは、箱崎の東京シティエアターミナルまで電車で一本だし。
 挨拶もそこそこに、妻の事務所兼居住スペースを飛びだし、歩いてすぐの楽器部屋へ。ううう、テープ起こしもまだすんでいないというのにぃ(泣)。そのまますぐにテープを聞きつつマックのキーボードを叩く。

 フラフラになりつつどうにか原稿アップしFAXすると、着替えをひっ掴んで事務所に帰る。幸いパッキング名人の妻がほとんどすませておいてくれたので、難無く荷物はまとまる。
 しかし、スーツケースひとつ、ダンボール箱ひとつ、それぞれの手荷物ひとつづつという結果となり、昨年8月の「OTA-CON」の時、超重量荷物を持って駅の階段でヒーヒーいってた暗い過去を思い出す…。
 ちなみに今回もブースで物販があるので、妻は数種類のコスプレ衣装と自分の漫画等、こちらもライブがある為に音源ひとつとMDウォークマン2つ、バックアップ用の小型DATにデジタルビデオ、原稿未アップ分があるためにモバイルワープロ等も持っていく。その重さたるや…(泣)。
 やがて、朝。前の日まで徹夜で仕事していたよーこちゃんがウトウトしてる間に、電池やらフィルムやら買ったり、家賃の支払いの為に銀行に行ったりする。
 そして、いよいよ出発時間。気合いで荷物を持って階段を上り、どうにか急行電車に乗り込みます。さあ、もう後は知らんもんね(笑)。


 ここで、今回のメンバーを紹介いたしましょう。まずは妻でゲスト・オブ・オーナーの一本木蛮。夫である自分。漫画家のよーこちゃん。「OTA-CON」に続いての参加で、すでにアメリカのオタクファンが出来つつあるバカ漫画家の加藤礼次朗、通称礼ちゃん。その知り合いの某講○社ヤン●マガ◎ン編集者、通称たっちゃん。そして妻のアシスタントでもあり、最近某小○館で賞も獲った、通称タコラちゃん。
 この6人に加え、日本のゲストとしてすでに前日旅立っている妻のココロの父(つまり自分の義理の父にあたる)、日本SF界の重鎮・高千穂遥先生と、その友人である通称うえPさん。
 ああ、なんかメチャクチャなメンバーかもしんない(笑)。


 さて、箱崎着。今回は前回みたいに飛行機に乗り遅れない為に(爆笑)、かなり早く来たので一番乗り。
 やがて礼ちゃん、たっちゃん、タコちゃんが姿を現わす。ああ、礼ちゃんがまたすごい荷物を持って来てはる。どうやら向こうで売るモンらしい。で、その馬鹿デカいカバンは、そのまま帰りにおもちゃ買って入れて帰ってくると。あー、ねー。
 そのままノースウエストのカウンターでチェックインし、出国スタンプを押してもらってリムジンバスへ。渋滞もなく成田に到着し、余裕を持ってビールを飲んでから機内へ。おおっ、割とすいてる。前回のギュウギュウ詰めの悪夢を思いだしつつ、今回は妻と二人で四席をシェア。うむ、悪くないぞよ。
 さて、離陸だ。アナウンスが流れる。「指示があるまで電子機器等のご使用はおやめ下さい…」あら、礼ちゃんがCDウォークマン取り出した。あら聞き出した。お、落ちたら礼ちゃんのせいだ(笑)。
 そのまま機内では酒飲んでメシ喰って、まだ観てなかった「メン・イン・ブラック」も観れ、いやあ快適な空の旅。目指すは第一降機地であるアメリカ・シカゴ。機内で配られた入国カードに記入を始めたが…誰も宿泊するホテルの名前を知らない(笑)。そうなのよねー、インターネットで「ほほう、こんなホテルかぁ」と見てはいたが、その名前をどこにも書き留めておかなかったのね。
 仕方ないからガイドブックを見て、適当なホテルを書き込む一同。「どうせ本当に泊まるかどうかなんてわかんないから、一番高そうなホテルを書いておこう」ああ、小市民(笑)。

 さあ、シカゴだよん。乗客が少ないから、入国手続きもすぐすんで、それから国内線のターミナルへ。まるで未来都市に出てくるような綺麗な空港で、循環モノレールで移動ですね。
 それで、次の乗り継ぎまであと数十分……とくれば、再びビールでしょ(笑)。簡単なスナックを売ってる店に入り、それぞれビールやらジュースやら、ホッドドックやらを買う。あーあ、礼ちゃんとたっちゃんは、アメリカサイズのピザを頼んでしまって泣いてる(笑)。
 そのうち、数日間あまり寝てなくて、そんなにお酒に強くないたっちゃんが席を立った。
「ちょっとその辺を散歩してきます」
 ぬぼぼぼぼ(擬音)。
 たっちゃんは実に個性的なヒトで(笑)、礼ちゃんの仕事場で良く寝ていたり(笑)、密かにポケモンマスターでもあるらしい(笑)。

 食後、国内線に乗り込み、第二降機地であるデトロイトへ。移動時間は二時間弱だから、早く感じますね。で、降りる。
 ここデトロイト空港は、アメリカでも有数のハブ空港なので、いやはや広い。でも、次の乗り換えまで時間があまり無いので、そのまま移動。早めに機内に乗り込むのだった。
 そしたら、ここでアクシデント。定刻になっても機が出発しないので、遅れてるのかな、と思ってるといきなり機長アナウンス。
「これから行くワシントンナショナル空港に、この機より先に着陸許可を求めた機がいるらしくて、ちょっと待てといわれちまったぜ。ちくしょう、どういうこったい!!」
 なーんじゃ、ソレ。この珍しいトラブルに、すでに乗ったまま一時間経過。そこで再びアナウンスが。
「いつになったら出発出来るかわからないから、機外に出てもいいよん。電話かける人はかけてきてくれい」
 というコトで、自分は妻と一緒に外に出て、とりあえずビール(笑)。だあってぇ、いつになったら出発するかわからないし、アメリカは国内線のみアルコールの持ち込み禁止だし。そのまましばらくチンタラして戻ると、再びアナウンス。
「ラチがあかないので、ワシントン行きの他の最終便に乗り換えてくれい。これを逃すと今日中にはつけないぜベイビー」
 の、乗り換えますがな。
 で、半分眠ってるみんなを誘導しつつ、乗り換え。それも、歩いても約10分はかかる距離。隣の隣のゲートなんだけどね。
 もちろんその機は純粋にそれに乗る人がチェックインしてるので、その空席に分散。だからちょっとでもみんなで固まるべく、急いで行ったんですが…礼ちゃんが行方不明(泣)。
「じゃあ、ちょっと探してくるよ」ぬぼぼぼぼ、とたっちゃん。これがまた、二人とも帰って来なくなっちゃったのねー。しょうがない、二人でデトロイトに住んでもらうか(笑)。
「ごめんごめん、ちょっと迷っちゃって」(礼ちゃん)
 ぬぼぼぼぼ、とたっちゃんも帰って来た。で、なんとかチェックイン。
 そのまま約一時間半、ギュウギュウの機で最終目的地であるワシントンナショナル空港へ。ああ、もう何時間飛行機に乗ってるかわかんなくなってきたけど、もう飽きた。もういいっす(笑)。


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