−第2話−

 やがて、夕闇につつまれたナショナル空港へ到着。
 日本よりもちょっと暖かい外気を感じつつゲートを進むと、おなじみのクーニー(木村邦和くん・フロム浪花)が迎えに来てくれていた。
「良かったぁ、遅れてるから、一時はどうなるコトかと思いましたわぁ」
 クーニーはご存じの通り(アメリカ道中記必読のこと)、アメリカで出版社の社長をやってるコで、社員3人という小さな会社ながらも、アメリカのコミック界では非常に注目されている会社なのだった。
 一本木の漫画も出版してくれてるし、永井豪ちゃん先生の「キューティーハニー」や、神崎将臣先生の漫画も出版している。ちょっと前になんたらという賞(注目すべきコミックス会社賞とか?)だか何かをもらったらしくて、ついでゆえばエヴァンのアメリカ版ビデオの翻訳をしているのもクーニーなのだった。
 で、そのクーニーとともにお出迎えしてくれたのが、コンベンションのゲスト担当、リチャード。通称ポッキー。千葉大学に留学もしていた韓国系アメリカ人なのだが、今回ドライバーとして活躍してくれた。通称の由来は、お菓子のポッキーが大好きで、いつも持ち歩いているから(笑)。

 さあ、いよいよホテルに移動だ。
 コンベンションが用意してくれたチャーター車は、12人乗りという巨大なワゴン車。それに乗り込み、約20分。道中にセブンイレブンとウェンディーズによって食料と酒を買い込み、コンベンションの会場であるラディソンホテル(四つ星!!)に到着。
 だが、ここで再びトラブル。
 なんでもスタッフの手違いつーかズサンさつーかで、私たちの部屋がちゃんと用意されていない。キレそうになるクーニーとポッキー。ここで一時間ほど足停めをくってしまった。
 と、そこにやってきたのがクーニーの同僚であり、武闘派&ミリタリーマニア漫画家で自分の兄弟分であるスティーブ・ベネット4世、そしてMIT出身の才媛・ケイト。
「Oh,my brothr!!」「はーい、すちーぶ!!」
 熱い抱擁(笑)。
 で、キレてるクーニーにスティーブも加わり、一行は無事に部屋にありついたのでした。
 ただし部屋割りは変則的で、よーこちゃんとタコちゃんが一部屋、たっちゃんはクーニーの部屋のエクストラベッド、そして自分と妻のジュニア・スィートに礼ちゃんが加わったとさ。

 チェックインした部屋…いや、それまでに、部屋にいくまで時間がかかったかかった。
 このホテルって、メインタワーと別棟があって、自分らの部屋は別棟。セキュリティを考えての事らしいが、なんせメインが30階建てだし、ロビーから部屋にたどり着くまで10分弱はかかってしまった。アメリカはやっぱ、なんでも広いもんだ。
 んで、部屋ね。
 ここがまたドーンと広くて、冷蔵庫はあるわコーヒーメーカーはあるわ、中でも驚いたのがお風呂。一度に三、四人は入れそうな大きなバスタブで、それも深い。まるで五エ門風呂のようで、いつもシャワーだけの生活なのでこれは嬉しかった。まあ、小さめのジャグジーみたいな感じね。
 荷物を置いて一服してると、他の部屋のみんなが集まってきた。
 そこで買ってきた夕食を食べ、ビール2、3本飲んでから屋内プールにあるジャグジーへ。
 そこにはすでに、スティーブを始めとするクーニーの友人連中が来てたのだった。んで、しばし談笑の後、自分と礼ちゃんと妻、クーニーはサウナへ。軽く汗を流してから部屋へ戻り、この日は疲れもあって早めに眠りについたのだった。
 それにしても、ベッドもキングサイズなので、妻と二人でも余る余る。


 翌朝、午前8時前。時差ボケもあってか目が覚めてしまい、何気なくカーテンを開けると、そこには広い芝生に囲まれた大きな池。その池に、カモメや雁がウジャッとやって来ているのだった。
「妻、妻、トリトリ!!」
 ややあって起きてきた妻、そして礼ちゃんも鳥を見て、ホウッと関心。昨夜買ってきてたポテチを砕いてあげたりしました。
 うーむ、有意義な朝である。
 それから身支度をして、日本ゲストとクーニー、スティーブがロビーに集結。あ、でもよーこちゃんがちょっと体調をくずしていたので、今日はホテルでお留守番。
 ここで始めて、お義父さん(高千穂先生ね)に会ったのだった。
「パパおはよー」(妻)
「こりゃどもお義父さん」(自分)
 朝の挨拶もすみ、一行は例のデカい車に乗り込んで朝食を取りにいきます。
 ただし、お義父さんとうえPさんは、すでに早朝にすませたとの事。じゃなんで一緒に?というのは、その後みんなでスミソニアン博物館に行くからですねー。
 ホテルを出た車は走る事数分、ごく小さなモールにあるピザ屋さんへ。そこで各自が好きなモンを食べ、いよいよワシントンD.C.の中心部へ。
 フリーウェイに乗ってしばらく行くと、デーンと横長の建物が見えてくる。
「おおっ、ペンタゴンだ!!」
「グレイは? あの中にグレイはいないの?」
 さらに国会議事堂やなんたら記念碑やらで、それなりに盛り上がる一行。

 そのうちにスミソニアンに到着いたします。
 えーと、スミソニアン博物館っていうのはいくつもの博物館の集合体で、それこそアメリカの自然史博物館やら何やらがいっぱいあって、全部キッチリと見て歩くには数ヵ月必要とも言われております。
 で、そんな時間は無いので、その中でひとつピックアップしたのが航空宇宙博物館。
 実際に使われた飛行機やら宇宙船やらロケットやらがそのまま展示してあったりするスケールのでっかい所でして、ライト兄弟の飛行機やリンドバーグの飛行機なんかもある。エノラ・ゲイにはちょっと閉口したけど。
 だが、ここで一番燃えているのは、実は礼ちゃんなのだった。
 実は訪れた時に、「スターウォーズ」展をやってて、実際に映画で使われた衣装やら特撮モデルやらが展示されてるのね。それを見るのと、もちろんスターウォーズのおもちゃがお目当て。
 前回アメリカに来た時に、礼ちゃんのおもちゃの買いっぷりがあまりに凄かったので、もはや伝説となっていて(笑)、スタッフなんかが気を使ってくれていろいろ調べていてくれたようなのね。ここもその一環だと。

 さあ、まずはギフトショップに直行(笑)。
 スターウォーズの棚に釘付けの礼ちゃん、それに触発されて思わず戦闘機のプラモを買ってしまうクーニー、「いいお土産だ」と本物の宇宙食を買い込む我々夫婦。
 その後展示物を一通り見て、いよいよスターウォーズ展へ。
 最初にジョージ・ルーカスや当時の出演者、スタッフなどの裏話的メイキングビデオを見て、それから展事物セクションへ。ダースベイダーやらチューバッカやらC3POやらR2D2やらヨーダやらミレニアムファルコンやらを見たのでした。
 そしてフと見ると、なんとここにもスターウォーズグッズ売り場があって、ミュージアムのギフトショップの数倍の品揃え!! 当然礼ちゃんはフラフラと引き込まれます。ここに滞在する事数十分(笑)。
 あ、でも今回礼ちゃんは前回の無謀買い物ぶりを反省してか、慎重に吟味してました。ミュージアムを出る時には、50センチ四方のビニール手下げ袋3つくらいしか無かったし(笑)。

 この時点で、昨日もスミソニアンに来ていたお義父さんとうえPさんはホテルに戻っており、車が無かったので、車待ちのスティーブと荷物を残してみんなは両替に。
 トコトコと20分くらい歩いたところにある銀行で両替してると車も迎えに来てくれ、そのまま昼食タイム。クーニーおすすめの中国料理屋さんでお腹一杯食べるのでした。
 それから、モールに移動。
 実はここに、クーニーたちがあらかじめ見つけていたオタクショップがあって、礼ちゃんを是非とも連れていきたかったと。
 その店に入ると、あるわあるわ、漫画からフィギュアからカードからがビッシリ。何故かゲッタードラゴンのジャンボマシンダーサイズのおもちゃもあったな。礼ちゃん、このの店どう?
「…ちょっとここは時間かかるよ」(目がうつろ)
 クーニーの目論見、おお当たり(爆笑)。
 そのまま礼ちゃんとスティーブを残し、他のみんなはモールのスーパーでそれぞれの買い物。
 自分は薄手の長袖シャツやビキニのブリーフを買い(笑)、それから妻と二人でビタミンの買い漁り。アメリカのビタミンって、本当にいいぞ。飲み始めると、体調が全然違うもん。
 特大サイズのビタミンB、E、カルシウム、ジンク、アミノ酸、マルチビタミン、ついでにメラトニン等を買っても一万いくら。半年分くらいはこれでオッケーです。
 おお、よーこちゃんをすっかり忘れていた(笑)。急いで中華料理屋さんでテイクアウトしたパーコー飯(冷えきっている)を持ち、ホテルに急ぐ一同。いよいよ明日からコンベンションだ。



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