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GAINAXアニメ講義第27回 「Q&A/最後に」|講師:今石洋之・村田康人 /特別出演:井関修一/ 司会進行:大塚雅彦(2012/01/20)

GAINAXアニメ講義第26回 「アニメの表現と現場の変化」|講師:今石洋之・村田康人 /特別出演:井関修一/ 司会進行:大塚雅彦(2012/01/13)

GAINAXアニメ講義第25回 「原画は動画にどう影響するか」|講師:今石洋之・村田康人 /特別出演:井関修一/ 司会進行:大塚雅彦(2012/01/06)

GAINAXアニメ講義第24回 「原画から動画へ」|講師:今石洋之・村田康人 /特別出演:井関修一/ 司会進行:大塚雅彦(2011/12/30)

GAINAXアニメ講義第23回 「研修期間/動画マン時代」|講師:今石洋之・村田康人 /特別出演:井関修一/ 司会進行:大塚雅彦(2011/12/22)

GAINAXアニメ講義第22回 「動画のしくみ」|講師:今石洋之・村田康人 /特別出演:井関修一/ 司会進行:大塚雅彦(2011/12/16)

GAINAXアニメ講義第21回 「動画の線」|講師:今石洋之・村田康人 /特別出演:井関修一/ 司会進行:大塚雅彦(2011/12/09)

GAINAXアニメ講義第20回 「質問コーナー」|講師:今石洋之・村田康人 / 司会進行:大塚雅彦(2011/10/26)

GAINAXアニメ講義第19回 「試験の時に見るポイント」|講師:今石洋之・村田康人 / 司会進行:大塚雅彦(2011/10/19)

GAINAXアニメ講義第18回 「アニメーターになるためにやっておいた方がいいこと/どんなタイプの人が向いているのか」|講師:今石洋之・村田康人 / 司会進行:大塚雅彦(2011/10/12)

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GAINAXアニメ講義第26回 「アニメの表現と現場の変化」|講師:今石洋之・村田康人 /特別出演:井関修一/ 司会進行:大塚雅彦



「エヴァ」に影響を受け絵を描くようになったという井関氏。そこから、当時の現場の話になり…?またもやホワイトボードに説明を描きはじめる今石氏!アニーメーターがアニメーターに変化を与える、そんな作画のお話です。
※この講義は2011年4月、livedoor アニメ漫画ゲーム系ニュースサイト「Anigema〜あにげマ!〜」さんご協力のもとUSTREAMで配信した放送をテキスト化したものです。
7:アニメの表現と現場の変化

大塚:井関君は、アニメーションのどういうところを面白いと感じて、アニメーターになりたいと思ったの?

井関:きっかけだったのは、『エヴァンゲリオン』(注1)とか、『フリクリ』(注2)とか、『グレンラガン』(注3)とか。

村田:『エヴァンゲリオン』の何が良かったの?

井関:一番印象に残ったのは昔やってた方の劇場版です。

大塚:リアルタイムじゃないよね?

井関:リアルタイムで見てました、夕方に。映画館でも。

大塚:当時いくつ?

井関:小学生です。

大塚:小学生で『エヴァ』を観るの?

村田:小学生だったの?あのとき…。

一同:(笑)

村田:旧劇場版の何が良かったの?

井関:弐号機が復活したあとの戦ってるシーンですね。

村田:磯さん(注4)の担当したあたりね。

井関:そうですね。磯さんのあたりも好きですけど、まあ全部です。黄瀬さん(注5)の描くキャラクターも、テレビの時のキャラクターの絵と違ってたんで、小学生ながらに何かこう…「なんでこんなに絵が違うんだろう」「なんでこんなに動くんだろう」「テレビと全然違う、なんだこの世界観は」って思ってました。それがビデオ化されたあとも、何回もコマ送りして、すごく食いついて見てて。
それで自分も模写したりして、だんだんはまっていった、という感じです。原画集とかも買ったりして「ここの会社に入りたい!」って思ってました。最初は入れないだろうなってちょっと思ってたんですけど、入ってしまったんで(笑)

今石:『エヴァ』の旧劇場版でさ、すごい発明だったのが黄瀬さんの描いたミサトの影でさ。ミサトの前髪ってギザギザになってるじゃん。普通はこの影、髪の下に少しだけまっすぐ付けるんだよね。(右 画像上段 図1参照) でも、黄瀬さんの回だけ影の付け方が違って、髪と同じくギザギザにつけるの。(右 画像上段 図2参照)
髪の毛の房が3つあったら影も3つ落ちるの。本来フサフサしている髪の毛を省略して3本にしてるんだから、影も省略して描くべきなんだけど、記号化して描いたものの影をそのまま落としてるの。フィギュアの髪みたいにみえるわけよ。でも、それも格好良かった。立体感がストレートに出るので。
顎の線を切るというのも、黄瀬さんの描いたのがかっこよくて。貞本さん(注6)のキャラ表は顎がすぱっとシャープに描かれてて、その下に軽くBL影があるっていうものだと思うんです。アオリになると普通、描くの難しいから工夫して逃げるものなんです。顎を上げたのを正面から撮ってる時に、顎の線を描かないで顔と首を繋げちゃうのね。で、そこに顎の影を落とすのが普通なんだけど、『エヴァ』の場合は下から光が当たる。襟の影とか鼻の影とか、額に影とかがあるんです。(右 画像下段 参照)
普通に影を落とすと楽なんだけど、下から光を受けた影だけがある。実はこれ、下手な人が描くとすごくカッコ悪い。なのに黄瀬さんが描くとそれが、逆に立体感のある表現になってて、すごくかっこよかった。
キャラクターデザインの領域に若干侵食する作画監督というか、アニメーター的な発想でどんどん絵を描いていくというか。その辺が『エヴァ』の劇場版は刺激的だったんですよね。

村田:俺はめんどくせぇなぁと思った。

一同:(笑)

今石:劇場を公開した後に、ビデオ化する為のリテイク作業をするじゃないですか。そのときに鈴木さん(注7)作監の回でなぜか髪の毛の影がギザギザになってるんですよ。黄瀬さんが変えてからみんな黄瀬さん風に描き始めるというのが面白かった。「やっぱりアレ、みんなかっこいいと思ってたんだ!」ってドキドキしながらやりました。
磯さんの原画の所もそういうのあったよね。磯さんの所で初めて弐号機のお腹の蛇腹が増えたんだよ。本当は「絶対に蛇腹の数は○個」って決まってたんだけど、磯さんだけは繋ぎ目を描かずに、四つか五つお腹の横に黒い模様があるっていう。しかもどんどん寸胴になって…っていうのをやりはじめたら、本田さん(注8)が劇場で寸胴を推し進める。その辺が、アニメーター同士がイメージを共有して、キャラ表以上の膨らませ方をしていったところだと思います。
昔、金田さん(注9)が暴れた描き方を作り出して、それをみんなで真似していった、ということがずっとあったんだけど、僕は『エヴァ』の劇場の動画をやりながら、金田さんの時と近い現象が起こっているのを横で見てきたんです。そこが一番財産になってますね。

大塚:そういう、アニメーターがアニメーターに刺激されていろんなことが変わっていくのは面白いですね。もしかしたら、ガイナックス特有の現象なのかもしれないけど。キャラ表はキャラ表で本来なら守らなきゃいけないんだけど、それよりもかっこいいことが優先されるというところが面白い。

村田:それはガイナックス特有じゃないですよ。『うる星やつら』(注10)の頃にもあったんです。
『うる星やつら』のキャラ表自体は実はそんなに可愛くないんだけども、森山さん(注11)西島さん(注12)が作監をやって、すごく可愛くなっていった。それこそ、漫画の方にも影響が出ていって、漫画の絵も最終的には森山さんのキャラみたいな感じになっていっちゃったから。

大塚:逸脱しちゃうんだけども、その方がいいとなれば周りが影響されちゃうんですね。

村田:その頃よりもっと前はそういうのは許されてなかったんで、キャラが変わっていくということはなかったんだと思うんですけど。

今石:そういう進化は常に、今でも、現場レベルでどんどん、より細かいレベルで行われてるように思う。

村田:最近、顕著にそれが出てるのが、今のところはガイナックス作品なんじゃないか、という感じですね。アニメーターのやりたいようにやらせちゃうんで。

大塚:作品によってはそれがうまくかみ合わないというか、それをやっちゃうと作品自体が壊れる場合もありますからね。うちはそこを容認するのを含めて作品を作っているので、やっていいことになってますけど。それが必ず良いかと言われると、作品によるな、と思う。

今石:僕も『グレンラガン』の時はそれをすごく期待していたんですけど…みんなちゃんとキャラ表に沿って描いてるなって感じだった。

村田:あそこまでめちゃめちゃ変えちゃう人って、もういないでしょ。

今石:いないですね。変えていいと思っている人がまずいない。

大塚:だそうですよ、井関君。変えていいらしいですよ。

村田:そんなことは教えない方が良いんだよ(笑)

今石:それは、作監を納得させるレベルで変える必要があるからね。作監が「ん?生意気だな」って思ったら全修しちゃうわけだから(笑)

村田:周りを納得させるようなワンシーンを作っちゃえば問題ないんだろうけど。なかなかそれを描けなくて、時間が無くなって、途中で誰かに手伝ってもらわないといけなくなると、意味がなくなっちゃうんだろうな。

今石:磯さんの『エヴァ』がまさにそうで。磯さんの担当シーンだけ、コンテも若干いじってるはずなんで、全く元のプランから変えてるんだけど、鶴巻さん(注13)がそれに合わせる感じで前後のシーンを調整してるはずなんですよね。本田さんも、磯さんの原画に合わせて絵を調整してると思うし。

村田:ほとんど修正入ってなかったけどね。

今石:いや、磯さんのところは直さないで、周りを合わせるんですよ。

村田:ああ、なるほど。

今石:それくらいの気にさせるエネルギーが、今必要かもしれない。ハードルが高いんですけどね。


次回に続く!
(注1)「新世紀エヴァンゲリオン」/テレビアニメーション。1995年〜1996年放送。
(注2)「FLCL」/ オリジナルビデオアニメーション。2000年〜2001年制作。
(注3)『天元突破グレンラガン』 / 2007年放送のTVアニメーション。2008年には『劇場版 天元突破グレンラガン 紅蓮篇』が、2009年には『劇場版 天元突破グレンラガン 螺巌篇』が制作された。
(注4)磯光雄/ アニメーター、アニメーション監督。代表作に『電脳コイル』他
(注5)黄瀬和哉 / アニメーター、アニメーション監督。「劇場版 機動警察パトレイバー」「イノセンス」「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」作画監督、「たんすわらし。」監督 他
(注6)貞本義行 / キャラクターデザイナー、漫画家。代表作に『新世紀エヴァンゲリオン』など
(注7)鈴木俊二 / アニメーター、作画監督。代表作に『新世紀エヴァンゲリオン』作画監督 他
(注8)本田雄 / アニメーター、キャラクターデザイナー。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」作画監督、「千年女優」キャラクターデザイン 他
(注9)金田伊功 / アニメーター。代表作に『大空魔竜ガイキング』作画監督、原画 他
(注10)『うる星やつら』/ 高橋留美子原作の漫画。テレビアニメーションは、1981年〜1986年放送。
(注12)森山雄治 / アニメーター、アニメーション監督。代表作に『うる星やつら』作画監督 他
(注12)西島克彦 / アニメーター、アニメーション監督。代表作に『うる星やつら』作画監督 他
(注13)鶴巻和哉 / アニメーター、アニメーション監督。代表作に『フリクリ』『トップをねらえ2!』監督、『新世紀エヴァンゲリオン』副監督、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』監督 他


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