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GAINAXアニメ講義第19回 「試験の時に見るポイント」|講師:今石洋之・村田康人 / 司会進行:大塚雅彦
アニメーターへの第一歩とされるうちのひとつ、動画マンの採用試験。試験時にはどんなポイントが採用の決め手となるのでしょうか?実際にガイナックスにて動画マン採用担当として試験を請け負っておられる村田さんがズバッとお答えします。
※この講義は2011年4月、livedoor アニメ漫画ゲーム系ニュースサイト「Anigema〜あにげマ!〜」さんご協力のもとUSTREAMで配信した放送をテキスト化したものです。
5:試験の時に見るポイント
大塚:動画マンの採用試験で決め手になる採用のポイントは何ですか?
村田:基本的には絵が上手くないとダメです。面接をする前に絵を送ってきてもらうんですが、明らかに昨日2〜3枚描いただけと分かる人がいると、これでやる気になってるの?と思う事があります。
あと、この仕事は人との信頼関係で成り立っていくので、たくさんの人と1つのものを作っていく中でうまくコミュニケーションが取れる人や、人として性格が破綻していない人が選ばれやすいのかな、と思います。
大塚:個人作業で絵を描いているように思われがちですけど、結局のところ集団作業になりますよね。
村田:もっとぶっちゃけて言っちゃうと、(ガイナックスに限っては)僕が扱いやすい人。
大塚・今石:(笑)
大塚:話が通じないと困りますよね。

村田康人氏 |
村田:ちょっと勘弁してよ、と思う人は外しちゃう。あと、面接に来ている人に、「うちの会社落ちたらどうするの?」という質問をよくするんです。そうすると、「来年もう一回来ます」という人がたまにいるんです。そこで更に、「じゃあ、あなたは何をやりたいの?」と聞くと、「アニメーターになりたい」ってその人は言うんですね。アニメーターになりたいんだったら、うちには落ちたんだから、とりあえず別の会社でアニメーターになったらいいじゃん、って思うんですけれど。ガイナックスに入ることが目的になっている人がたまにいるんですが、そうじゃないでしょ。自分の好きだったアニメの会社に入りたいとか、好きなアニメーターのいるところからスタートしたい気持ちは分かるんだけど。とりあえずアニメーターになることが大切でしょ。で、そこからがスタートでしょ、って思います。
どうしてもガイナックスでなきゃダメなんですという人は逆に断っちゃいますね。
今石:そこをゴールにされてもしょうがないですよね。
村田:そう、そこからでしょ。別にどこの会社に行っても、アニメを作るためにやっていることは変わらない。好きなスタジオで仕事をしたいという気持ちになるのは分からないこともないんだけど、でもスタートはどこでもいいじゃん。別のスタジオにいても、一緒に仕事をやることはあるでしょ。その辺は、実際にやってみないとなかなか分からないんだと思いますが。

大塚雅彦氏 |
大塚:まあ、見ているところは人間性みたいなところですよね。
村田:そうですね。大丈夫そうだと思って会社に入れたら、実はそうでもない人も何人かいたんで。30分程度の面接では、なかなかそこまでは分からないので、その辺はちょっと難しいですね。
大塚:ガイナックスを受けるためには、今までに描いたスケッチなどを送ってもらうんですけど、どのくらいの量を送ればいいのか。さっき、2〜3枚だけ描いて送ってきたという話が出ましたが、そのくらいの人もいるってことですね。
村田:アニメの専門学校だと、ファイルを作れと言われるらしいんですよ。だから、クリアファイルを何冊か送ってきて、その中に1枚1枚絵が入ってたりするものもあるんですが、バラの状態でもかまいません。スケッチブックで何冊か描いてあるのがあってもいいです。かといってダンボール1箱とか送られてきても困ります。美術大学のクロッキーだけを送られてきても、油絵が来ても困っちゃうかな。普通に線画が一番いいですね。鉛筆で、ラクガキ程度のものをたくさん描いてきてもらえればいいかなと思います。募集要項のところに「作品を送ってください」と書いてあるんで、どうしても1枚の完成したものを送らないといけないと思ってしまうようで、ちゃんと色をつけて背景を描いてくる人もいるんですけど、極端な話、それこそ広告の裏に描いたラクガキでも構わないと思います。
大塚:さっきも言ってましたけどキャラクターばかりじゃなくて他のものも描いた方が良いんですよね。

今石洋之氏 |
村田:そうですね。あればベストというだけで、キャラクターしか描いていないなら、それでこっちは判断するしかないんで。これ以上の発展性があるだろうと思えば、それはそれで大丈夫です。とはいえ、いろんなパターンが描いてあった方が有利です。いろんなものが描けるんだな、とこっちも分かるから。まぁ車ばかり描かれても、これから車は多分CGになると思いますが(笑)。でも、車がちゃんと描けていればその人はパースのことが何となく分かっているんだろうし、そういうのは力量が分かりやすいかもしれないですね。
大塚:これまではメカを専門にしていた原画マンもいましたけど、3DCGがアニメの中で使われていくと、CGの力の方が強くなっていくんですかね
今石:徐々にそうなっていきますよね。パースを正確に描く必要がある無機質なものは、どうしてもCGに置き換わりがちなんで。
村田:『パンスト』(注1)とか見てたら、「これ、CGでやってるんだ」って驚くものがありましたね。
今石:ありましたねぇ。
村田:作っているこっちがびっくりするようなものもあるんで、これからどうなっていくのか分からないですね。
大塚:でも、アニメーションで動きをつけようと思うと、結局人間が動きをつけているわけですよね。メカが好きな人は、3Dの方向を目指すのも選択肢としてあります。僕らも『パンスト』をやっていて感じたんですが、絵を描くか3Dでやっているかというツールの違いがあるだけで、上手下手は個人差があるんです。3Dだから均一に皆出来るというわけではなくて、上手い3Dの動きは上手い人がやらないといけないという個人差があるのがはっきり分かったのが面白かったです。それは原画マンでも同じですよね。どんなものも上手く描けるというわけではなく、メカや美少女など特定のジャンルに特化した人もいますし。だから最近は、アニメーターを目指すのか、3Dで芝居を作ることを目指すのか、選択肢が増えたという考え方が出来るのかなぁと思います。
次回へ続く!
(注1)「Panty&Stocking with Garterbelt」/ テレビアニメーション。2010年放送。
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