−第6話−

 ハッ、と気がつくとすでに5時半。
 起きて急いで身支度。礼ちゃんもパッキングは終了したらしく、30分ほどソファで横になったそうな。そして寝ているニキを起こさないように静かに家を出て、まだ薄暗く一部凍結している道路を車は走り出す。
 そしてみんなをピックアップし、一路ナショナル空港へ。時間は余裕を見ていたんだけど、意外に早く到着するコトが出来ました。
 さあ、チェック・インしてゲートに直行。国内便だから、スススと登場口まで簡単に進めます。そこにあるコーヒースタンドで各自が軽い朝食を取り、いよいよ出発時刻。ケビン、スティーブ、クーニーと熱い抱擁と握手を交す。
「それじゃまた、来月ね(笑)」
 実は、クーニーとスティーブは、4月の頭に日本に来る予定なんですねー。さらに、5月にはまた自分たちがテキサスのコンベンションに呼ばれてるので、そこで会う。毎月会う(笑)。
 というワケで、しばしの別れ。さらばワシントンD.C.、また来る日まで。

 ここからまずは、デトロイトへ。乗り継ぎの時間にしっかりとビールを飲み、一路ロスへ。全部で5、6時間はかかってるはずですが、アメリカ国内だけで2回時差があるので、午後2時には到着いたしました。
 それから、荷物をピックアップしている間に宿探し。某有名ガイドブックの情報に頼って探していたのですが、これの料金表示・電話番号がウソウソ大ウソ!! 結局、地の利がいいハリウッド大通りのモーテルに決定しました。
 空港からそこまでは、シャトル・バンを使います。乗り合いの大きなバンで、約40分の道のりで、一人18ドル。
 降りる時にメキシカンの運転手さんが「いつ帰るのか?」と聞いてきたので、ちょうどいいやと帰りの足のリザーブ。一人15ドルにディスカウントしてくれた。

 さあ、宿だ。ここはハリウッド大通りとラ・ブレア通りの交差点角にあるモーテル。中国系のオーナーが経営してるようで、ツインもしくはダブルの部屋はバス付きで一泊47ドル。二泊するから、宿代は一人47ドルね。
 で、自分ら夫婦、よーこちゃんとタコちゃん、礼ちゃんとたっちゃんの三組に別れて部屋に入ります。
 荷物をおいて、やれやれと一服しいると、ここで一騒動。どうもよーこちゃんたちの部屋が狭くて汚いらしい。見にいってみると、明らかに自分らや礼ちゃんの部屋より劣っている。後に判明するのだが、このモーテル、建て増ししたようで、新しい方に二組が入り、よーこちゃんたちの部屋は古い方だったのだ。
 さあ、よーこちゃんとタコちゃんの腹はもう決まっている。
「礼ちゃん、部屋かわってね」(よーこちゃん)
「変わって下さいまし」(タコちゃん)
 それに対し、露骨に不満を現わす礼ちゃん(笑)。
 結局変わってあげてたけれど、部屋を出る時に「オレの匂いをつけてやるぅ」と、ベットでゴロゴロしてたっけ(笑)。 

 無事に(笑)部屋も変わり、いよいよハリウッドに繰り出します。
 まずは、軽く腹ごしらえ。モーテルのすぐそばに、アラビア文字のレストランがあったので、珍しいからとそこに入ります。
 ここがターキッシュ・レストランで、カバブとか羊肉のメインディッシュが中心。だが、それが実に美味しくて、ガパガパ食べる一行。ただ、一皿の量がやたらに多く、食べ残し続出。それでいて非常にリーズナブルな値段でした。
 お腹も一杯になり、ハリウッド大通りをテクテク。なんとモーテルから歩いて2、3分でチャイニーズ・シアターというロケーション。有名な手形足形を見学しつつも、しっかりとギフトショップに入る礼ちゃん(笑)。この辺りはそういうお店が密集しており、浅草の仲見世みたいな感じですかね。
 で、ずーっと東の方に歩いていくと、Tシャツ屋さんや、映画グッズ屋さん、その他ちょっと怪しげな店もある。
 礼ちゃんが次にひっかかったのは、小さなカードショップ。
 ここで「こんなのあるなんて知らなかった」という超人ハルクのカードを買い込む。ホクホク礼ちゃん。「買ったのは失敗だと思ったんだけどね、これが大当たりだったよ」(後日談)
 次に、妻が楽しみにしていたフレデリックスという巨大なランジェリーショップに入る。礼ちゃんとたっちゃんは、先の店をチェックしに行ったので、残る4人で下着の山に突入したのですが、ここはマドンナのガードルとかステージ衣装をデザイン・制作したお店なんですねー。ひょっとして、松田聖子がいないかと探したけど、いなかった(笑)。

 さて、礼ちゃんたちはどこに?
 フと見ると、電気屋さんみたいなトコで何か店のおやじとモメてる。妻と二人でどしたどした?と入ると、なんか値段でモメてるらしい。
「コレ買おうと思ったんだどさ、TAX込みの値段が絶対おかしいんだよ」
 コレとは、スターウォーズのR2D2の形をした電話(笑)。
 おやじと話をすると、最初に店番してた自分の兄弟と途中で交代したので、ややこしくなったみたい。
 結局、定価からTAX込みでもディスカウントしてもらって、85ドルくらいで商談成立。ああ、マニアはここまで押さえないといかんのね。
 ところが、その店を出てしばらく行くと、再び同じような電気屋があり、またもR2D2電話が。
「一応、値段のチェックしとかんとね」
 店に入る礼ちゃんと、おっかけてく私たち。その店のR2電話の底には、99ドルというプライスシートが貼ってあったのだった。
「なるほどね。あー、サンキュー」
 礼ちゃんが行こうとした時、おやじが呼びとめた。で、何かヒソヒソと喋ったかと思うと、いきなり礼ちゃんが、
「うわぁぁぁぁぁぁ、やめてくれぇぇぇぇぇ!!!!」
と言い、頭を抱えて店を飛び出した。礼ちゃん、ど、どしたの??
「…あのおやじ、いきなりものすごいディスカウントしてきた。65ドルだよ、65ドル。く、苦しい、胸が苦しいぃぃぃ!!」
 あーあ、これは可哀想だ。
「…でも、お金を払った時点で負けだからね。悔しいけど、R2D2に関しては負けを認めるよ」
 で、この日はそのままプラプラ歩き、リカーショップでビールを買うと、早々にそれぞれの部屋にひっこんだのでした。なんと夜の9時よ、9時。ハリウッドの夜が早いせいもあるけど、なーんて健康的なんでショ。


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