−第5話−

 翌日。今日はホテルをチェックアウトし、クーニーやスティーブの家のあるフレデリックス・バーグという町へ移動するのだった。
 メンバーは、クーニー、スティーブ、我々日本組6人、ケイト、そしてケビン。
 荷物を持ってホテル前に移動すると、いろんなスタッフも帰り支度をして出てきて、握手や抱擁を繰り返す。
 今回はアレだな、現役のマリーン(米国海兵隊)の友達が出来たのが良かったな。ものごっつデカくて強そうなヤツ。あ、名前忘れた(笑)。

 さあ、我々も車に乗り込み、さらばラディソンホテル。そのまま初日に朝食をとったピザ屋で昼食をとり、スミソニアン方向へ。
 実は今回、礼ちゃんは大いなる野望を持っていたのだった。
「ホワイトハウスの前で礼次朗スーツ姿で、世界平和を訴えたい(笑)」
 ところが、折しもホワイトハウス周辺はイラク問題の最中、テロ防止などもあって厳重な警戒態勢。
「発砲されるかもしれない(笑)」
 というスティーブの意見を素直に聞き、そんじゃ、と国会議事堂前に変更(爆笑)。
 ここはちょっとした芝生が続いてて、完全なパブリックスペースなので問題はない、と。
 そして、その礼ちゃんに促されてか洗脳されてか、礼ちゃんが今回新しく持ってきた「金色全身タイツ」に身を包んだたっちゃんが参加する事に。あああ、狂ってる(笑)。
 あの、「マーズ・アタック」で火星人がやってきた議事堂ね。アメリカ合衆国のシンボルね。あれをバックに、突如現われた加藤マンと、金色星人。
 タコちゃん爆笑。よーこちゃん、ヒーヒー言ってる。それもそのはず、よーこちゃんは今回、これを観に来たといっても過言ではないのだ。
 さらに、通りすがりの一般のアメリカのヒトに声をかけ、握手し、写真やビデオに収まる二人。ところが、協力してくれた二人の紳士は、実は議事堂が職場−−下院の事務をやっている方たちだったのだ。
「ほ、本物だぁ!!」(礼ちゃん)
 ああ、また日本が誤解される(笑)。日米貿易摩擦に一役かってしまったかもしれない(泣)。

 それから、さらに議事堂に近づく。
 議事堂の前には人工の池がありますが、その向こう岸には、ひっきりなしにやってくる観光バスと、記念写真を撮っている団体さん。いち早く礼ちゃんを見つけると、
「おー、なんかヘンなヤツがいるぞ」
「どれどれ、あ、ホントだ」
「いいぞバカ、飛び込め!!」(全て意訳)
 さすがに飛び込めなかったけどね。
 この時点で、礼ちゃんよりもたっちゃんの方が、全身スーツを気にいってしまったみたい。
 これで決まったな。「日本一のかぶり物編集者」の称号は、たっちゃんのものだ。
 一人で鳩とたわむれるたっちゃんを見て、みんなそう思っていたのだった。


 そして、いよいよフレデリックス・バーグへ。
 ワンウェイが多くて複雑なD.C.の道に迷いつつ、雨のフリーウェイを走る事一時間で、ようやく到着。自然の多い、いいトコです。
 まずはクーニーのアパートメントに寄って一服したあと、自分の要望でサープラス・ショップへ。
 いやあ、さすがアメリカ、中田商店の比じゃないですね。あら、礼ちゃんはCRE(軍隊食)を買ってる。たっちゃんも、ゴアテックスのコートを買ってる。
 で、この店って細長い作りになってて、奥へ進むと何故かエステのスペースがあって、さらに進むとギフトショップがあって、通りに出る。 このギフトショップもなかなか面白くて、ヘンな物が置いてあったりした。男のヒトのアソコ型のグミやパスタとか(笑)。なんの事はない、みんなここでいろいろ買い物して、一番量の少ないのは自分だった。

 さあ、行きますか。
 と、一緒に来てたケイトがいない。
 ドコ行った?と探してると、さっきのエステのスペースにある小部屋で、耳にピアスの穴を開けてた(笑)。
 ちなみにケイトは、耳の他におヘソと乳首と、なんと舌にもピアスをしているのでした。

 移動。次は妻の要望で、ショッピングモール内にある「ビクトリア・シークレット」というランジェリー屋さんへ。 その後、礼ちゃんの強い強い要望で「トイザラス」へ(笑)。
 さあ、礼ちゃんがおもちゃモードに突入します。ここで約一時間(笑)。でっかい買い物ワゴンに満載のおもちゃ。レジの店員さんもちょっとひいてます。
「…まあ、マニアはどんなジャンルにもいるから」(店員さん)
 車のリアウインドー、おもちゃで見通し不能(笑)。

 それからみんなでメキシカンレストランに行き、ラテンなディナー。
 食後はデザートだ、と寒い中、フレデリックス・バーグで一番美味しいというアイスクリームを震えながら食べに行き、最後にタコちゃんの強い要望でアダルト・ショップへ。
 いや、別にタコちゃんはエッチだというワケではなくて、「漫画の資料にするから」(本人談)と、美少年同士の作品を物色していました。しかし、ぜーんぶそのままオープンマインドなんで(笑)、ものの5分もすればすっかり満腹になりました。オモチャもリアルででっかいのがウジャッ、とあったし(笑)。

 全ての買い物が終った後、一行は分宿するコトに。クーニーのアパートメントにケイト、ケビン、よーこちゃん、タコちゃん。それからスティーブの家に妻と自分、礼ちゃんとたっちゃん。
 スティーブの家は、クーニーのトコから約30分ほど。ちこっとフリーウェイに乗って、やがて林の中の一本道へ。景色が急に開けたと思ったら、広大な敷地に、真っ白なでっかい家。
「すっげぇー、すちーぶの家、でっけぇー!!」(一同)
 ホントにデカい。現在一階部分を改装中だそうなのだが、二階だけで3SLDK。しかもここに住んでるのは、スティーブと奥さんのニキの二人だけ。裏の牧場には馬もいるというから、スケールが違い過ぎる。
 おまけに、車のライトを消したら、灯りは家の中の照明と、星のみ。その星の量ももの凄いものがあって、これだけ見たのはタイのチェンマイ、南米ボリビア、ガラパゴス以来。
 アメリカって都会部分は東京と変わらないけれど、ちょっと離れただけでこんなに環境が違ってしまう。つくづく広い国なんだなー、と実感しました。

 さあ、時刻はもう、午前1時近く。明日は旅立つ為に、午前6時半にはクーニーのトコでみんなと合流しないとまずい。だが、これからちょっとした大仕事があるのだった。
 それは…パッキングです。
 今回は帰りにロスに寄るので、出来るだけ身軽になりたかったので、こっちで買ったお土産、いただいたプレゼント、もう使わない衣装や衣類は、航空便で送ってしまおう、と。それをするメンバーが、広いスティーブんチに来たと。
 で、一行は暗い中、大量の荷物を室内に運び入れます。それから自分と妻、礼ちゃんはパッキング開始。たっちゃんは、スティーブのコレクションである古い軍刀やサーベル、数丁あるカービン銃やハンドガンを見せてもらい、写真に撮ります。
「冷蔵庫の中にビールがあるから自由に飲んでくれい」(スティーブ)
 さんきゅー、ぶらざー。お言葉に甘えて、コロナビールをクピクピ飲みつつパッキング。
 そうねぇ、30分くらいでウチらはできたかねぇ。
 ところが、フと見ると礼ちゃんは固まったまま。礼ちゃん、どしたの?
「…とりあえず、一度絶望してからやる気を起こそうと思って」
 あー、ねー。それもそのはず、礼ちゃんの荷物の量ときたら…何に例えればいいかなぁ、初めて一人暮しする時に買う、小さな2ドア冷蔵庫。あれが2つ分くらい(笑)。
 まあ、自力で持って帰れる量ではありませんね。
 しかも、礼ちゃんの場合はおもちゃ単体だけが大事なのではなく、パッケージも綺麗でないといけない。特に限定フィギュアやレア物はそうなので、それを仕分けしつつ、送る分と手荷物を区分けする。
「…今日は、寝れんね!!」(礼ちゃん)
 そんな礼ちゃんを気の毒に思い、かつ楽しみつつ、自分と妻はスティーブとニキの結婚式のアルバムを見たり、前回のOTA-CONでのオフィシャルが撮ったビデオを観たり。いつしかウトウトと眠りの世界に。
 スティーブも、椅子に座ったままウトウト。たっちゃんはぬぼぼぼぼ、礼ちゃんはサクサク(笑)。


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