−第4話−

 さて、二日目。
 朝のおとずれと共に、礼次朗スーツでベランダから外に飛び出す礼ちゃん。ああ、保護色で、しかも雁の群れとコミニュケーションしてる。
 その時既に部屋に来ていたよーこちゃんとタコちゃんは、その不思議な光景を観て自暴自棄・狂乱状態。ハイハイ、テンションあげたまま、今日も頑張って売りましょー。

 時間はアッという間に過ぎ、夜。今夜はアメリカのコンベンションの目玉企画でもある、マスカレード・コンテスト−−つまり、コスプレ大会が行われるのだった。
 しかし、なーんか進行がズレてて、今イチタイムテーブル通りに進まない。やきもきしつつも、コンテストは開始されます。 ちなみに、審査委員長はお義父さん、審査員に妻や礼ちゃん、スティーブなど。
 エントリーされてるのは約30組で、単体参加もあればグループ参加も。以前も書いたけど、アメリカのコスプレって完全にエンターテイメント化されているので、必ず自分たちで考えた寸劇があります。まあ当たりはずれはあれど、全体的にとっても楽しいよん。しかも、審査中にはコンテスト参加有志やスタッフによる出し物もあって、これがまた面白い。
 そうこうする内に、アッという間に審査発表。それぞれの審査員より各賞が発表され、盛況の内にコンテストは幕を閉じました。

 さて、いよいよ我々の出番。つまり、一本木蛮のライブですねー。
 歌が一本木、パフォーマンスが礼ちゃん、演奏が自分というこのユニットを、別名アメリカドサ回りバンドと呼んでいます(笑)。
 でも、でもなのだった。実は、リハーサルが全く出来なかったのよ。ライブはコンテストと同じ会場でするんだけど、コンテスト前にセット組んで、じゃサウンドチェックってトコで客入れされちゃった。
 それに加えて、モニタースピーカーが用意されていないという、信じられない状況。
「何が何でもモニターを用意してくれ」
 と頼んだ末、ようやく一台だけ用意されたが、それは一本木のマイク前につけられたので、ほぼこちらには聞こえず。無謀と不安の中、スティーブのMCでライブは始まったのでした。
 この時点で、既に午後11時過ぎ。一時間半押し(泣)。

 一曲目、「聖闘士星矢」のスタート。あ、あかん、モニターから音が出てない。しかもホールが広いんで、思った以上に反響が凄く、リズムがつかめない−−以後、全て「勘」のみのライブとなったのでした。
 アメリカの皆様は、暖かくアンコールもしてくれたけど、これだけボロボロな状態ってのは、高校生の時組んでいたバンドの時以来。スタッフはみんないいヒトでしたが、ことこのライブのセッティングや仕切り、対処等に関しては、ハッキリ言って最低最悪でした。
 グッタリと疲れつつ、部屋に戻る。
 ちょっとして、疲れきって髪の毛がボサボサになったクーニーが「パーティーやってる部屋に行きませんかぁ〜」と誘いに来てくれたが、気力ナシ。泥のようにバタンと倒れ、眠るのでした。


 次の日、コンベンションの最終日。
 この日は珍しいことに、お義父さんがずっとディーラーズスペースにいらっしゃいました。
 するとそこに、スタッフ数人がやってきて(全員男)、神妙な顔でお義父さんに近づいていく。
「高千穂先生、我々は今さら言うまでなく、全員が先生の熱烈なファンです。そこで先生に敬意を表し、是非お見せしたいものがあるのですが…」
 ???なんじゃらホイ。するとひとりが「せーの」とかけ声をして、全員でポーズをとり、
「ダンディー・ペア!!」(わかるかな?)
 爆笑する妻。苦笑いするお義父さんは一言、「帰ってもらいなさい(笑)」
 で、ポーズを何回も繰り返すので、まわりはすっかり人だかり。ああおもちろかった。
(お義父さんは妻に「元はと言えばあなたのせいだ」と言ってらっしゃいました)

 そうこうする内に、午後4時。
 全てのコンベンションプログラムは閉会式をもって終了しました。
 それから一同はスタッフ用のサイン会を行い、スタッフ全員で打ち上げディナーへ。またもステーキでしたが、あまりの巨大さに食べられず、妻に助けてもらいました。ふふふ、ウチの妻は、肉専用の胃があるのです。
「息子よ、食べきれん。助けてくれ」(お義父さん)
「いえ、自分も妻に助けてもらってます(笑)」

 そして食後の一服を吸いに、店の外へ。そこでクーニーとスティーブに簡単な格闘技教室を開き(笑)、ホテルへ戻ります。
 ここで、お義父さんとうえPさんは、明日早朝の便で帰国するため、みんなとお別れです。で、自分らもそれぞれ部屋に戻り、ビールを飲む、と(笑)。


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