−第3話−

 翌朝。
 今日はちょっとゆっくり起きて、10時過ぎ。ディーラーズスペースがオープンするのが11時からなので、急いで支度をする。
 そこに、ドンドンとドアを叩く音。
「ふー、いず、いっと?」
 開けると、ポッキーや他のスタッフが、何やらダンボールを抱えて立っていた。どうやら朝食を業者に頼んで持って来てくれたらしく、ドカドカと運びこまれる。
 ほどなくみんなが部屋に集まって来て、朝食。卵4、5個は使っているような巨大冷凍野菜入りオムレツと、メイプルシロップ付きのパンケーキ。
 ああ、満腹どころじゃなく、苦しい…。こりゃ太るな。

 すると、ややあってお義父さんとうえPさんがご来訪。すでに食事はホテルのレストランで終えたそうですが、お義父さんは
「ここのホテルの食事は非常にまずい!!」
 とご立腹。
 で、自分がコーヒーを入れている間に、部屋を見回して一言。
「この部屋に三人で泊まってるの?」(お義父さん)
「あ、そうなんですよ、高千穂先生」(礼ちゃん)
「夫婦に邪魔なヤツだな、何やってるんだ、キミは!!」(お義父さん)
 ああおもちろい。まだベットの上で、トランクス姿の礼ちゃん、お義父さんの叱責を浴びるの巻。
 いやね、実は日本にいる時からお義父さんと礼ちゃんの確執はあって、某日本SF作家クラブ主催の、某永井豪ちゃん先生の漫画家デビュー30周年パーティーの時、お義父さんからきついサイン、記念写真禁止のお達しがあったにもかかわらず、礼ちゃんはこっそり某大友克洋先生のサインをもらいにいって、イエローカードを渡された経緯があったのだ(笑)。
 アメリカで、娘夫婦の邪魔者として、再びイエローカード(爆笑)。
 それから荷物をまとめて、妻はセクシーチャイナドレスに、礼ちゃんは加藤マン(唐草模様の全身スーツ)に着替え、長い廊下をズンズンと進んでいきます。
 すでにディーラーが集まるバンケットホールは開いていて、いろんなオタクショップが並んでいるのだった。こちらも負けじと商品を並べ、さあいらはいいらはいと売り子になります。


 一時間も売っていると、パネルディスカッションの時間。
 漫画家さんは、ここで隣のボウルホールというでっかい部屋に移動、後はクーニーの会社のウェブマスターであるクリス(日本語勉強中で、ヒゲがかっこいいナイスガイ)と、自分と、たっちゃん。
 英語でオタクとやりとりしつつ売り子をしてると、いきなりよーこちゃんとタコちゃんが走ってきた。
「ビデオはどこ!?」
 話を聞くと、なんと礼ちゃんのアメリカの息子であるチャド(マライヤという可愛いコと同棲中で、しかも国家公務員。得意なコスプレキャラはシンジ君)がやって来たという。
 前回礼ちゃんと出会ってから、チャドはずっと加藤マンスーツ(唐草スーツね)を気に入って着ているという。そのチャドがとうとう姿を現わしたというのだ。
 こ、これは感動の再会となるぞ、と、ビデオを掴んでパネルの部屋へ。
 そのまま舞台に上がり、待つ。
「あーっ、来たぁ!!」
 叫ぶ礼ちゃん。
 見ると、入り口から一直線に、不思議な動きをしつつ走ってくる緑色の人影が…。チャ、チャド!!
「おおーっ、チャドぉぉぉぉ!!」
「オー、マイ、パパ、カットーサーン!!」
 く、狂ってる(笑)。そのまま熱く抱擁をする日米唐草男たち。加藤マンと、チャド男。
 その後、プレスも交えてこの二人の即席撮影会。
 ええい、写真はアップするつもりだが、どうしても観たい人がいれば、テープ代と送料のみでダビングしましょう。それほどこの二人の動きって、活字にしにくいんだもん。


 そのままその日は無事に終ったのだった。で、夕食に行く事になったのだが…。
「何を食べたいですか?」(クーニー)
「ステーキ!!」(一同)
 というコトで、ステーキハウスに直行。
 アメリカでは、「タテだかヨコだかわからんステーキ」を食べるのをモットーとしている我々夫婦、18オンスのミディアム・レアを頼みます。
 でも、それぞれがちょっと違うステーキを頼んだんですが、妻とタコちゃんの頼んだのだけ、特に巨大。その前にサラダ・バーで野菜喰いまくりだったし、自分はビールからワインに切り替えてガバガバ飲んでるし。極めつけは、礼ちゃんの頼んだ超甘デザートで、〆。
 満足してホテルに帰って来ると、ポッキーがスススと近づいて来ました。
「今日この後から、カラオケ大会があります。皆さんで是非いらして下さい」
 もちろん、アニメのカラオケですね。そこで、ちょっと疲れて眠いと言う妻を部屋に残し、礼ちゃんとたっちゃん、よーこちゃん、タコちゃんの5人で会場に参ります。
 最初にイッたのは、やっぱり礼ちゃん(笑)。ガオガイガーを熱唱し、次にたっちゃんがガンダム。よーこちゃんまでエヴァン歌うし、タコちゃんもキャッツアイを歌う。
 ああ、みんなそれなりにハイになってるのね、と関心しつつ、自分はビールをカパカパ。スティーブの弟のケビン(むっちゃくちゃエエ奴。ゲタを履いたナイスガイ)がどこからかサクサクとビールを調達してきてくれて、いい気持ちになってお部屋に帰ったのでした。

(後編につづく)


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