NEWS
GAINAX NET
Toppage Gallery News Diary Works Staff Mobile link Shop
Animation & Films
Software & Goods

劇場版 天元突破グレンラガン 公式サイト
劇場版 天元突破グレンラガン 上映館情報
「天元突破グレンラガン」公式サイト
「天元突破グレンラガン」公式サイト
アニプレックス
コナミ
天元突破グレンラガン アニメーション原画集第1巻
Top > Works > Animation & Films > 天元突破 グレンラガン
最終回「ある“名もなき男”の肖像」

 光あるところには、影もまた必ず存在する。
 螺旋王・ロージェノムの圧制を打ち破り、ついにはアンチスパイラルの脅威に立ち向かうまでにいたった人類。その苦闘の歴史には、数多くの英雄たちの名前が刻まれている。カミナ、シモン、キタン、ヨーコ、ロシウ……。そんな英雄たちの活躍の陰には、また名もなき人々の姿があった。
 ここに、そんな"名もなき人々"のひとりを召喚することにしよう。
 彼の名は、バチョーン・ドッカナイ。そう、テッペリン攻略戦において、ゲンバーが巻き起した殺人竜巻に誰よりも早く飛び込み、そして華々しく散ったあの男である。
 多くの方がご存知の通り、かの特攻において、バチョーンの乗り込んだ戦艦は、木っ端微塵に破壊。しかし、彼自身は間一髪で脱出、からくも一命を取り留めたのだった。……とはいえ、あの激戦の最中のことである。救出隊が駆けつけたのは、戦いが終結した4日後。すぐさまバチョーンは救護施設に搬送されたが、極度の衰弱のため、生死さえも危ぶまれる状態にあった。
 ようやく意識を取り戻したのは、半年後のことである。日頃から身体を鍛えていたことが効を奏したのであろう、術後のリハビリも順調に進み、バチョーンはカミナシティの中央病院を無事、退院する。テッペリン攻略戦から1年もの後のことであった。
 当時、人々は戦後の混乱をようやく抜け出しつつあった。かつての大グレン団メンバーを中枢に据えた新政府は順調に統治を進め、新たなテクノロジーの発掘が人々の生活を豊かにし始めた頃のことである。当然のごとく、退院したばかりのバチョーンも、政府の主要メンバーに入るものと思われた。彼もまた、テッペリン攻略戦の功労者であったことは、紛れもない事実だったのだから。
 ……しかしなんと、彼は政府からの誘いを断ったのである! その心中に何があったのかは、想像するしかないが、安逸な暮らしを拒否し、生まれ変わったこの世界において「バチョーン、ここにあり」と、誇示したかったのかもしれない。彼が、退院後に最初に着手したのは、これまでの半生を振り返る"自伝"の執筆であった。
 ドッカナイ村での悲惨な暮らしから、テッペリン攻略戦への参加、病院での自省を切々と語り、最後は英雄シモンに送る賛歌で終わるこの自伝――は、しかしまったく評判にならなかった。昏睡状態のときに彼が経験したという"あの世"の話が、あまりにオカルトじみていたせいかもしれない。あるいは、人々の識字率が50%にも満たないという単純な事実に、彼が気づかなかったせいかもしれない。いずれにせよ、復帰の第一歩は失敗に終わったのである。
 しかし、天は決して彼を見捨てなかった! バチョーンは、わずかながら得た資金を元手に、まったく新たな事業に着手したのである。そう、それはダイガン級戦艦を用いた運送業への進出であった。
 時はまさに好機。カミナシティへと流れ込む人口は日に日に増大し、辺境と中央をつなぎ、人々の生活を支える流通業は、なくてはならないビジネスへと成長しはじめていた。
 しかし、好事魔多しのことわざのごとく、2度目の悲劇がバチョーンを襲う。
 それは、いつものようにカミナシティへと建設資材を運んでいる最中のことであった。悠々と走るバチョーンのガントラックの前に、飛び出してきた影。「わたしは死にません!」。そう叫びながら、両手を大きく広げた女性が、道路へと身を躍らせる。あわや激突する……と思われたその瞬間、バチョーンの運転するガントラックは、横から突っ込んできたガンメンに弾き飛ばされていた。
 この事故により、バチョーンは全治6ヶ月の大ケガを負ってしまう。その療養のため、彼は久しぶりに実家のあるドッカナイ村へと戻ることにあいなった。せっかく軌道に乗り始めた事業も頓挫し、失意のなかにあったバチョーン。彼の心中は、察するにあまりある。
 ……が、転んでもただでは起きない彼のこと。夕日に照らされ、黄金色に輝く故郷。その風景を見て、彼は新しい商売のアイデアを思いついたのである。
 それは、ドッカナイ村特産の"トウキビナゴ"を使った、飲食店の経営であった。このトウキビナゴ、外見はまるでバッタそっくりのグロテスクな代物だが、その名前からわかるように栄養価は抜群。しかも、焼いても美味、煮ても美味、そのまま食してなおよし……と、まさにドッカナイ村の誇る優良作物だったのである。
 事実、彼の展開した飲食店チェーン『バチョーンの食いだおれパラダイス』は、瞬く間に支店を増やし、売り上げも倍増。ユニークな味と「バチョーン印のトウキビナゴで、アナタもズバッと切り込み隊長!」のキャッチフレーズで、『食いだおれパラダイス』は、わずか2年で30以上の支店を抱える一大チェーンへと発展を遂げた。
 まさに順風満帆。開設されたばかりの株式市場への上場も決め、いよいよ首都・カミナシティに1号店を出店した矢先、3度目の悲劇がバチョーンを襲った。急速に発展する外食産業に目をつけた、ライバルチェーン『ブタモグラステーキ』の登場である。
 

両者のシェア争いは壮絶を極めた。新メニューの投入に、値引き合戦。顧客の囲い込みから、株の売り浴びせに買い浴びせ、チェーン店の買収に再買収……。あらゆる手練手管を使って繰り広げられたその戦いは"外食産業のテッペリン攻略戦"とまで、評されたほどである。
 しかし、この争いに勝ち抜いたのは『ブタモグラステーキ』だった。かの英雄・カミナとシモンを前面に押し出した「ふたりを育てた世界最高のステーキ」キャンペーンが、すでに劣勢にあった『食いだおれパラダイス』を、窮地に追い込んだのである。かつて、自らが陶酔した英雄たちに、打ち倒されたバチョーン……。ライバルに買い取られた本社ビルを去っていく彼の目には、うっすらと涙が浮かんでいたという。
 しかし、彼が決してカミナたちを恨んでいなかったことは確かである。それは、シモン総司令の責任をめぐって巻き起こった、通称"カミナシティ暴動"のときのこと。怒り狂う群集の前に立ちはだかり、シモンを擁護しようとした、バチョーンらしき浮浪者の姿が目撃されている。「あいつはそんなヤツじゃない! あいつは俺の希望の星なんだ!」。今にも引き倒されようとしていたカミナ像を前に、必死で叫ぶバチョーン。その姿を最後に、彼は歴史から完全に消え去ってしまうこととなった……。
 光あるところに、影もまた必ず存在する。バチョーンという男の人生を見ながら、我々の歴史を振り返ってきたが、最後にもうひとつ、バチョーンにまつわるエピソードを紹介して、この文章を終わることにしよう。
 バチョーンには年の離れた弟がいた。その弟は、地上解放後、ドッカナイ村唯一の学校を優秀な成績で卒業。カミナシティにある軍学校へ入学すると類稀なるセンスと才能で注目を集めたのち、エリートパイロットたちが集まるグラパール隊へと配属になった。
 彼の気持ちのなかには、出来が決してよいとはいえない兄への対抗心もあったのかもしれない。あるいは兄を反面教師に、自分は決して同じ轍は踏むまいと決意していたのかもしれない。
 事実、グラパール隊の一番機を任されるほどに、手腕を発揮した彼は、ドッカナイ村の誇る英雄のひとりであった。
 しかしそんな彼の運命は、かのアンチスパイラルの出現によって大きく変わる。首都上空に出現した正体不明の敵に対し、無謀にも先制攻撃をかけてしまったのだ。
 のちにムガンと名づけられる敵の反撃にあっけなく撃墜される彼の名を記憶している人も多いだろう。
「コーザ機、撃墜!」
 そう、彼の名はコーザ・ドッカナイ。ぎりぎりの場面での無謀な特攻は、あれほど意識した兄と同じ血のなせる業だったのだろうか。
 しかし、奇跡的に軽傷で済んだ彼は、アークグレン防衛のグラパール隊の一員として、地球を脱出する。だが、待ち伏せしていた巨大な敵キョムガンの攻撃にあっけなく機体を大破。誰もが彼の死を信じたが、兄弟揃ってしぶといのも血のなせる業か。重傷ではあったが一命をとりとめアークグレンに回収された。
 傷の治療のため、軍を離脱したコーザの公式記録はここで終わる。
 だが、アンチスパイラル決戦の数年後出版された彼の自伝『撃墜王コーザ −だから私は生き延びた−』は、同時期に出版されたシャク・ジーハの自伝『わしが焼き入れたる −ブタモグラ焼いて食わせて30年−』の売り上げをわずかに上回っていたと伝えられている。
 これもまた小さな螺旋の輪廻かも知れない。

Top > Works > Animation & Films > 天元突破 グレンラガン
GAINAX NET|Top
このページのトップへ
このサイトについてサイトマップサポート会社案内採用情報画像使用・商品化についてお問合せ
Copyright (c)2006 GAINAX Co.,Ltd. All Right Reserved.